「 SUPは親子で楽しむのに最適なツールだと思う」丸山隼人・春菜 × KOKUA

「 SUPは親子で楽しむのに最適なツールだと思う」丸山隼人・春菜 × KOKUA

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 高原ならではの、凛とした太陽の光が水に輝く。清らかな水は湖底まで澄み、周囲の木々の緑が水面に映える。滑らかな水の上にパドルのブレドが小さな波をつくる。穏やかな風に 乗って、子ども達の笑い声が静かにこだまする。

信濃五岳と呼ばれる山々に囲まれて、宝石のようにきらめく野尻湖。大正時代、外国人の宣教師が、自然の美しさと夏の清涼な気候に着目して、避暑地として知られるようになった。軽井沢などの人気観光地の喧騒を好まない別荘族やビジタに愛され続け、今も洗練された落ち着いた雰囲気が漂っている。カヌ、ヨット、ボドセリングなどのウォスポツも盛んで、野尻湖に通うリピは多い。近年注目されてい るのが SUPでのクルジングだ。上信越高原国立公園内という格好のゲレンデで、野尻湖の自然を満喫できるとあって人気も上々だ。その「レイク・サップ」の先駆けが、丸山隼人・春菜 夫婦だ。夏場には SUPのスクルやツアを主催して、SUPの 楽しさを湖を訪れる人々に伝えている。

この丸山夫婦だが、雪山、スノボディングを楽しんでいる方には、おなじみの名前だろう。「バブルス」のニックネームで知られる丸山隼人は、40年近いキャリアを誇る日本のスノボド界レジェンドライダの一人だ。プロで活躍した後にコ ンペティションの世界から離れて、フリライディングに傾倒し て世界の雪山を滑走してきた。現在はスノボドの新しい可能性を切り開き人気を呼んでいる「スノフ」の代名詞で あるGENTEMSTICK(ゲンテンスティック)のライダ、そしてpatagoniaのスノのアンバサダとして、雪山の楽しさを広めている。同じく春菜も同ブランドのライダ、アンバサダとして、パウダースノーに力の抜けた美しいライディングスタイルでラインを描き続けている。

10代より雪山に専心してきた二人だが、現在は野尻湖の湖畔、信濃町をベスに、「冬と夏」・「雪山と湖」という両極の季節・フィルドでアクティビティを楽しんでいる。SUPに出合ったのは、2010年。二人とも、初めて体験したのは、湘南の海。 その時の印象を春菜は鮮明に覚えている。

「波がすごくて、1回も立てなかったんです。四つんばいのままで (笑)。すごい筋肉痛になってしまい、翌日は階段を下りられないくらい」 決して好印象とはいえない初めての体験のはずだが、春菜は異なった。 「『これはいい!』と思って。もう、トレニング最高じゃん、と。当時、上半身が細くて、脚だけが発達していましたが、続けているうちに、すごくバランス良くなって。滑りも変わったんですよ。スノボドが本当に調子良くなったのを実感したので、 みんなに広めたいってなりました」

「僕も SUPをやるようになってから、スノボドのシズンインの体がとても楽だったんです。腰痛もありましたが、まったくなくなりましたね」 スノボドのトレニングの一環として、SUPを始めた二人だが、その魅力にひかれるのに時間はかからなかった。

「旅のツルにしていたんですよ」とバブルス。 「二人ともサフィンをするのですが、SUPをクルマに積んでおくと、波がなくても『あそこへ行きたい』と思った所へ漕ぎ出すことができる。遊べる時間が増えるんですよね」 当時、九州を一周するようなロドトリップに出かけた時も、SUPは旅のパトナとして最適だった。 「地図を見ながら、『この島、行けそうだね』とか。なかば勢いで海を渡って、岬を超えた先で予想以上の海流や風に流されたり、たびたび自然の厳しさを経験しました(笑)」

そう今、丸山夫婦は二人の子どもに恵まれている。5歳に なる息子の慧人(けいと)と 2歳の娘、藍菜(あいな)だ。「家族ができるまでは、滑りに行くにしても、行きたい所があれ ばどこにでも行って、どれだけ家を空けても良かったという感 じでした」とバブルス。 

「子どもを授かるまでは自分のスノボドのことだけ考えていて、仕事をして資金ができたら滑りに使う。夏もニュジランドへと、一年中スノーボードのことを考えていました」と春菜もうなずく。 だが今では、「家族がすべての基準になっているのですが、 なくてはならないというよりは、絶対的にそこにある存在」と、 バブルス。春菜にとっては「全部のエネルギになっている」。 ライフスタイルも大きく変化した。地元で過ごす時間も多く なり、ロカルのコミュニティ、人とのつながりも深まっていった。春菜は自宅の畑で野菜を育て、町でオーガニックマーケッ トを主催するようまでにもなった。 SUPとのかかわり方も子どもの成長とともに変わってきた。

「去年の夏、ちょっといい体験ができたんですよ」とバブルス。 「沖縄の海で、慧人とタンデムで漕ぎ出して沖の岩場まで行って、シュノケリングや魚釣りをしたり、帰りはリフで割れた波に乗ってビチに戻ってくる。SUPの楽しみ方は幅広く、何 より家族で楽しめるんだと実感したんです」
慧人は湖では
SUPから飛び込んだり、ボドの周りで水遊びをするのが楽しみだったが、こちらにも変化訪れた。 「野尻湖には島があって、普段ツアで往復するんですが、この春初めて慧人が一人で漕いで往復したんですよ。たかだか 2kmもない距離ですが、目の前で成長が見れるのは最高ですよね」と、バブルスはうれしそうに笑う。湖上で SUPをなごやかに漕ぐ丸山ファミリ。スノボドは時に、危険を伴うエ クストリムスポツだ。二人にとって、家族での SUPはリラッ クスできる時間なのだろう。それにしても仲の良い夫婦だ。 「やさしさと厳しさを兼ねそなえている」とバブルス、春菜は 「すごく真面目で、家族思い」とお互いをリスペクトする。「ずっと仕事も遊びも一緒なので反発して、たまにはケンカもしますよ。でも、スノボドやSUPを通して自然の中で過ごす時間が、心をつなげてくれる」と二人は笑う。丸山ファミリは今後、どんな SUPライフを送っていくのだろうか。きっとパドリングの数だけ、笑顔が生まれていくことだろう。



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