「あこがれの場所」世界選手権に向けて。橘ゆう選手の思いとは。

「あこがれの場所」世界選手権に向けて。橘ゆう選手の思いとは。

金子ケニーが手掛けるSUPブランドKOKUAは、次世代パドラーの育成をミッションのひとつとして掲げている。「ピュアな情熱を持ったパドラーを応援したい」金子ケニーが抱くこの思いのもと、チームKOKUAの一員として彼らを受け入れ、成長と目標の実現をサポートしているのだ。

今回は、チームKOKUAの一員である橘ゆう選手へのインタビュー。沖縄の海と共に育ってきた彼女は、現在高校2年生。父の影響で幼少期からSUPを始め、選手としてのキャリアは8年目になる。

 橘選手は、11月にプエルトリコで開催されるISA世界大会に出場する。初めての世界大会が目前に迫る中、どんな思いを抱いているのだろう。大会への意気込み、彼女のこれまでのキャリアについて聞いてみた。

 

家から海までわずか徒歩1分。父の影響でSUPを始めた。 

 SUPを始めた4歳ごろ。父との2人乗り。

 わずか17歳ながら、全日本大会優勝、アジアツアー制覇など、数々の功績を残してきた橘選手。SUPに出会ったのは、彼女がまだ4歳のときだったという。

 「元々、父がSUPやウィンドサーフィンをしていたので、その影響で私もSUPを始めました。最初にボードに乗ったのは本当に小さい時で、そのときの記憶は全くありません。よく、父と2人乗りをしていたみたいです。」

 家から海はわずか徒歩1分。海に慣れ親しんだ父のもと、パドルの漕ぎ方、波の乗り方を学んだ。父との2人乗りでスタートし、小学生になってからはひとりでも漕ぎにでるように。物心つく前から、彼女にとってSUPは日常そのものだった。

 SUPをしているときは、まるで海の上をお散歩しているような感じです。魚がいたり、サンゴがあったり、乗るたびに陸では感じられない新しい景色を見ることができます。小さいときからほとんど毎日漕いでいるけど、全く飽きなくて、楽しくて夢中になっていきました。気づいたら大好きになっていたんです。」

沖縄にて。ひとりで漕げるようになったころ。

競技者としてのデビューは、知り合いに誘われた沖縄での大会。当時、彼女は小学4年生だった。レースデビューは、初めての連続だったという。

 「近くの海でお父さんと2人で漕いだ経験しかなかったので、自分の周りに何十人とレーサーがいる状況が本当に新鮮でした。海もいつもの海とは違っていて、すべてが自分にとって初めての経験。見るもの、体験するものが現実のように思えず、ずっと不思議な感覚でした。

 レースでは、とにかくがむしゃらに漕いだのを覚えています。結果、2位でゴール。勝負の意識は特になかったんですが、思いもしない順位でゴールできて、とても嬉しかったです。」 

 

初めて出場した国際大会。無我夢中で漕ぎ続けた。

沖縄での大会を皮切りに、橘選手の競技者としてのキャリアがスタート。国内外さまざまなレースに出場し、現在、キャリア8年目を迎えた。8年間の中で、最も思い出深い瞬間はいつか、聞いてみた。 

アジアツアーにて。写真真ん中が橘選手。

 2019年に回ったアジアツアーで優勝したことです。初戦の台湾でのレースが、私にとって初めての国際大会でした。

 レースの日は、波がとても大きく、決して良いコンディションとは言えない中の参戦で、スタートしてからゴールまで、大きい波が何度も何度も押し寄せて、周りの選手がどこにいるのか、自分が今何位なのかもわからないほどでした。もう本当に波がすごかったんです。

 そんな状況の中でも、ゴールまで、自分のペースで、無我夢中で漕ぎ続けました。そして、無事にゴール。ゴールして初めて、自分が1位だと知ったんです。難しいレースだったからこそ、優勝できて本当に嬉しくて、忘れられない大会になりました。」

 橘選手はその後の大会でも優勝を飾り、アジアツアーを制覇。結果を残す原動力は、「達成感を味わうのが好きだから」だそう。

 「ゴールした時の達成感が好きなんです。どんなにしんどくても、ゴールした瞬間は、漕ぎ切った達成感でいっぱいになります。自分ならできるんだ、頑張ってよかったと思えるんです。2番よりは最初にゴールした方が気持ちいいし、達成感も全然違います。だからこそ、レースに出るからには1位を目指したい。達成感を味わえることが自分のモチベーションになっているんだと思います。」

「あこがれの場所」世界選手権に向けて

KOKUA FLY PROで波に乗る橘選手

 橘選手は、11月にプエルトリコで開催される世界選手権に出場する。大会が目前に迫る中、どんな思いで待ち構えているのだろうか。

 「まずは、とても楽しみです。世界選手権は私にとってあこがれの場所。その場所に行けることに今はとてもワクワクしています。

 これまでジュニアの日本人ライダーが優勝してきたのを見てきて、いつかはそこに立ちたいなと思っていました。なので、やっと出れるんだなという感じ。アンダー18の部門は今年で最後ですし、出るからには優勝を目指したいと思っています。」

 世界で自分がどう戦えるのか、ワクワクした気持ちでレースの日を待ち構えているそう。あこがれの場所、世界大会に向けて準備を重ねてきた。

 「会場は波が高い場所だと聞いているので、波乗りの練習をメインに頑張っています。自分の納得のいく結果に終われるよう、しっかり力を出し切りたいです。」

 

今後の目標。パドラーとしてSUPをずっと楽しむこと。

アジアツアーでの写真。前列右から4番目が橘選手

 現在、橘選手は17歳。今後のキャリアを築く中で、さまざまな選択が待ち構えているだろう。選手として、一パドラーとしての目標を聞いてみた。

 「ずっとSUPを楽しみながら続けていきたいと思っています。今のところ、楽しさを忘れそうになることはないけれど、いつか、忘れてしまうこともあるのかなとは思っていて。だから、楽しむことは目標というか、大切にしたいこと。

 もちろん、選手として勝敗はつきものなので、楽しいことばかりではなく、辛い思いや悔しい思いをするときもあります。けど、レースで悔しい結果になったとしても、沖縄に戻ると、まあ楽しかったらいいやと思える自分がいて。楽しめているからこそ、自分のモチベーションも保てているような気がしているんです。

 だからこそ、私にとって「楽しむ」は大事。勝つことにすべてを左右されるんじゃなくて、楽しむことを忘れずに、レースや練習に励みたいと思います。」

 「楽しむ気持ちを忘れないこと」。この思いは、橘選手の周りにいる人の影響も大きいようだ。

 「私の周りには、自由で、自分のライフスタイルがあって、楽しそうにしている人ばかりなんです。自分の気持ちに嘘をつかず、やりたいことをやっている人が多くて、みんな楽しそう。例えば、お父さんは自分の好きなことでお店を開いていて、ケニーさん(金子ケニー)は自分のSUPブランドを立ち上げていて。自分のやりたいことを叶えて、楽しそうにしている人が身近に多いんです。

 みんなを見ていると、純粋に素敵だなあと思うし、私も楽しんで毎日を送りたいなと思います。そのためにも、一時的な感情であっても、やりたいことを行動に移す勇気を持った人になりたいなと思っています。」

 勝負への強い思いを持ちながらも、楽しむことを忘れない。橘選手のこの姿勢は、選手のみならずどんな人でも大切にするべきことなのかもしれない。

世界大会はもう目前。楽しむことを忘れず、納得のいく結果を勝ち取ってほしい。

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